幻の石鎚化石湖
先週は愛媛県との県境にある四国カルストについて紹介しましたが、愛媛県でもう一つ忘れてならないのが石鎚山。
古くから修験道の山として知られ、空海もここで修行したと言われています。周りには石鎚神社や極楽寺などがあります。地質学的にも、四国には珍しい火山であり、また西日本の最高峰でもあります。
この石鎚山のある場所には、かつてはなんと湖がありました。その証拠に、石鎚山の火山岩の下には、湖だった頃に堆積した地層が広がっており、そこからは植物や魚類の化石が発見されています。「石鎚化石湖」と呼ばれるこの湖は、今から2000万年ほどまえに海水面に近い標高の場所で発生し、その後1500万年ほどまえの火山活動により、今の標高まで押し上げられました。
2000万年前と1500万年前と聞いて、地学に詳しい方ならピンときたかもしれません。
2000万年前には日本列島が大陸から切り離され始め、日本海が発生し始めた時期であり、1500万年前は四国全体が大きく隆起した時期にあたります。おそらく、石鎚化石湖は2000万年まえの地殻変動の時にできた地表のしわに溜まった湖であり、その後の四国の隆起に伴う火山活動でできた石鎚山の火山岩の下に埋まっていったのでしょう。
このように、石鎚山は人類の歴史だけではなく、地球の歴史も今に伝える場所なのです。
(佐川地質館での石鎚化石湖展示)