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2021年6月

2021年6月27日 (日)

雨とカルスト

しばらく晴れの日が続いていましたが、また雨がちな天気が続いています。

その先週の晴れた日にタイミングよく、佐川中学校の皆さんとナウマンカルストの見学に出かけました。

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ナウマンカルストは決して大規模なものではありませんが、それでも頂上から見ると雄大な光景が広がります。

 

カルスト地形とは、石灰岩が雨水によって溶けて作り出された地形のことを言います。

石灰岩が水に溶けるため、水捌けが良い土地になります。その結果樹木のような大型の植物が育たず、草原となります。

こうして草原に石灰岩が浮かぶように点在するカルストの風景ができるのです。

 

 

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ナウマンカルストの石灰岩をよく見ると、水が溶けて流れた痕も観察できます。

この瞬間も雨はカルスト地形を作り続けているのです。

2021年6月18日 (金)

佐川のウルル

世界最大の一枚岩として有名な、オーストラリアのウルル(エアーズロック)。

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(cc-by-sa Chandrakant Sahu)

 

実は佐川にも、越知町との境の山頂に巨大な1枚岩があるんです。

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高さ20m、周囲80m、重さは1万トン以上あると考えられます。

隣の自動車と比べると、その大きさが分かります。

この岩は遠見岩と呼ばれています。昔は物見に使われていたのでしょうか。

実際に、ここからの眺めは絶景です。

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(案内をしていただいた黒岩いきいき応援隊の皆様)

 

この岩の正体は、チャートという岩で、遠洋で堆積した石英から構成されています。

堆積岩としてはとても硬く、ここに山があるのも、この硬い岩のおかげで侵食を免れたからかもしれません。

さらに、左手で直接触れると100歳まで長生きできるという伝説もあります。

ウルルの方は先住民への配慮から2019年に観光登山が禁止されましたが、遠見岩はこれから観光名所として売り出していく予定だそうです。

Google Mapsはこちら


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かなり荒れている林道を移動する必要がありますので、十分な備えをして訪れてください。

2021年6月12日 (土)

日本初(?)のデジタルワークシート

佐川中学校2年生の皆さんが、iPadを片手に地質館の見学に来てくれました。

 

国のギガスクール構想により、今では全国の生徒一人一人にiPadなどの電子機器が配布され、授業などで活用されています。

せっかくだからこのiPadを博物館活動でも利用しようと思い、デジタルワークシートを用意しました。

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学校の博物館学習で欠かせないのがワークシート。虫食いになってる文章に答えを書き込んだりして完成させていくのが普通です。

デジタルワークシートでは、生徒は地質館内を周り、iPadで文字入力だけでなく写真も撮影してワークシートを完成させます。

ギガスクール構想が本格始動したのが今年度になってからなので、これが博物館での初のiPad活用事例かもしれません。

とはいえ、今のところ紙のワークシートより優れているのは「写真も撮れる」という部分だけ。

まだまだ改善の余地は大きいです。

 

2021年6月 6日 (日)

親戚の空似

長引く梅雨の雨の中、道路をわたるカタツムリを見かけました。

カタツムリを見て、アンモナイトを思い出すのは普通の古生物ファン。

カタツムリを見ても、アンモナイトを思い出さないのがアンモナイトの専門家です。

(私はアンモナイトの専門家ではないので勝手な想像ですが…)

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実はカタツムリとアンモナイトは、それほど近い仲間でもないのです。

カタツムリは巻貝の仲間ですが、アンモナイトはイカやタコの仲間。どちらも軟体動物の仲間なので、全くの無関係ではないものの、親戚関係といったところでしょうか。

殻の構造も大きく違います。カタツムリの殻は中が一つの部屋になっていますが、アンモナイトではいくつもの小部屋に分かれています。この小部屋を気体で満たすことで、海中で浮き沈みをしていたと考えられています。

アンモナイトはとても多様なグループで、中には殻がカタツムリのように巻いていない「異常巻きアンモナイト」と呼ばれるものもいます。そういったアンモナイトたちの化石も、佐川地質館では展示しています。

雨の日にカタツムリを見かけても見かけなくても、是非アンモナイトを見に当館にいらしてください。

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