北と南から
この4月に佐川地質館に新しく学芸員として赴任してきました森と申します。
四国の北隣の広島県生まれで、北極圏の近くにあったアラスカ大学を卒業後、これまで九州や愛知で学芸員として働いてきました。館内の標本の確認、ウェブサイトの更新など、すべきことが多くてパンク気味ですが、早く仕事に慣れるべく努力していきたいと思います。
先日、ある方からなぜ佐川にカルスト地形があるのかという質問を受けました。
佐川の大地は、太平洋のプレートによって南から運ばれてきた土砂からなっています。南方にあったサンゴもこの土砂の中に巻き込まれて運ばれてきました。このサンゴなどの石灰分が溶け出してできたのが鍾乳洞やカルスト地形です。佐川ではナウマンカルストや不動が岩屋洞窟が有名ですね。
佐川町からは、石灰分が溶け出す前のサンゴの化石もたくさん見つかっています。
ここで、地質に興味をお持ちの方は違和感をお持ちになったかもしれません。日本列島に沈み込んでいる太平洋のプレートは、主に東から西側に移動しています。それならなぜ、佐川に南から来た土砂や化石があるのでしょうか?実は、プレートの沈み込む方角が4000万年ほど前に北北西から西北西に変わったのです。当然、それより前に佐川の地に到達した土砂には、南方起源の生き物の化石が含まれます。
北からやってきた私が南からやってきた化石を扱うのも、巡り合わせかなという気がしています。
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コメント
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こんにちは。
佐川の景色が懐かしく、ちょくちょくブログ覗いています。
赴任されたばかりということで、仕事に環境に慣れるのがなかなか大変かと思いますが、佐川は自然が多く良いところだと思うので、
投稿: 湯たんぽぽ | 2021年4月20日 (火) 20時08分
頑張ってくださいね!
投稿: 湯たんぽぽ | 2021年4月20日 (火) 20時09分
湯たんぽぽさま
励ましの言葉をいただき、ありがとうございます。
投稿: 森 | 2021年4月22日 (木) 14時28分